第2章 もの (その3:用品)
           
  つぶやき話のテーマ1:  生理用品
          
 [排泄介助には生理用品が必要である。この生理用品は女性を基本に作られている。          
   男性用は少ない、多くは女性用を代用しているわけである。    ]        
           
  私は子供のころから放尿する夢を見ることがある。夢では便所へ行って、いくら力んでも          
 おしっこは出ない。いくら頑張っても出ないので、その内これは夢と気づいて、布団から          
 飛び起きるのである。そそくさと便所へ向かい、安心して便器へ放尿するのである。なんと          
 いう満足感であろう。
          泌尿器に異常はないのに、おしっこを出せそうで出せない経験をした事が一度だけある。       
 それはホームヘルパー資格講習会実技の一環として、紙おむつを付けて布団に寝そべって、          
 おしっこを

するのである。紙おむつをしているので、おしっこは漏れないことは理解でき
        ている。ところがいくら力んでもおしっこは出ない。出せないのである。
          
   仕方なく起き上がり、便所へ行って、立ってやっと放尿できた。紙おむつがじわっと、          
 生暖かく濡れていく感覚が、何ともいやであった。小便でこの有様であり、排便であったら          
 まず無理であろう。無感覚・無意識に、パンツや紙おむつに放尿・排便できる人は、立派な          
 要介護者であろう。加齢や病気のために、尿漏れ・漏便があるのは仕方がない。
          
  排泄用生理用品には、次のような種類がある。アウター用品として、ズロースパンツ、紙          
 パンツ、紙おむつがある。インナー用品として、生理用ナプキン形状の尿とりパッドがある。          
 尿とりパッドは標準タイプ、ワイドタイプ(長時間用)、ビッグタイプ(夜間用)がある。          
 男性用として、テトラパック状や穴あきタイプがある。S施設では男性用を購入しておらず、         
 排泄介助に使用したことはない。チン巻・さざえ巻に、標準タイプ尿とりパッドを使用して
 いる。
         
  私は個人的に、携帯用の男性尿とりパックを旅行用として持っている。バス旅行では、          
 2時間程度のノンストップ運転があるからである。私は幸いにも、尿とりパックをバス内で          
 使用した経験は一度もない。尿とりパッドは、尿を水分のままにせずに、固形(ゲル)状に          
 するのであるが、その凝固剤の成分はトウモロコシの粉と聞いたことがある。我々はなんと          
 トウモロコシの粉に、おしっこをかけているのである。昔だったら「この罰当たりもの」と、          
 怒鳴れそうである。 

         
   


  つぶやき話のテーマ2:  車椅子

          
 [車椅子が残飯で汚れていれば、搭乗者は要介護者であるが食事は自立している。          
   自立の食事をしているので、残飯が落ちるのである。                       ]          
           
  介護施設では、要介護者の移動自立支援のため老人車、歩行器、車椅子等を利用する。          
 この内車椅子は食事の時に、椅子そのものとしても利用される。食事の際、入所者は衣服が          
 残飯で汚れないようにエプロンをつける。それでも自立して食事する入所者は、残飯を下に          
 落としやすいのである。特に汁類はエプロンでは止まり切れずに、さらに下部へ落ちていく。          
 すると車椅子や床を汚すことになるのである。食事動作が自立できずに、全介助の入所者は          
 ほとんど残飯を下に落とすことがない。それで車椅子や床も汚れないのである。車椅子が残飯          
 で汚れた都度、清掃することは、時間的な点から手が回らない。すぐに口腔ケアや排泄介助へ          
 進まなければならない。車椅子は汚れたままである。掃除はどうしても後回しである。
          
  車椅子の取り扱い方法について、一言記述する。一般的な家庭では、車椅子を使用しない。          
 それで元気な高齢者のほとんどが車椅子の操作ができない。押して動かすことは理解できて          
 いるのだが?公共的な場所に置いてある車椅子を、咄嗟の場合に操作できないのである。
          
   公共的な場所がら、車椅子は折りたたんである。まず折りたたみを広げなければならない。          
 次は車輪にブレーキが掛けられているのでブレーキをオフにしなければならない。この状態         
 になって押せば動くのである。ただこれだけの操作である。しかし車椅子を一度も操作した          
 ことがなければわからないのである。このような操作方法を修得しておくべきであろう。          
           
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   つぶやき話のテーマ3:  寝具

         
  [ベッド、マット、敷布団、掛布団、毛布や枕は施設が用意する         
   寝具類である。枕が変わると眠れない人は手持ち枕である。  ]         
          
  人間、生活するには衣食住を整えなければならない。介護施設では食住を整えている。         
 住居関連では建物、空調関連等は施設建設時に定まってしまうものである。また、寝具類         
 も同様な資産・備品である。しかもこの備品類は安価から高価なものまでさまざまである。         
 特にベッドは簡易式から、頭や脚上下げ及び高さ調整機能付きの特殊ベッドまである。
         
   S施設のベッド設置状況は簡易式から特殊ベッドまである。入所者の身体状況を考慮して         
 ベッドを使い分けている。各布団、毛布、シーツ類は汚れた場合に洗濯・乾燥しなければ         
 ならないので、専門業者からレンタルしている。よって各人同一仕様の寝具である。しかし         
 枕が変わると眠れない人は手持ち枕を使用される。この手持ち枕は、形状が大きかったり         
 長かったりで、規定の枕カバーでは対応できない。手持ち枕のカバーは手持ちタオルを         
 代用することがある。このタオルカバーを拒否する人には、まだ遭遇していない。
         
  次に多い備品・消耗品は体位変換器である。簡単に言えば、寝た時の体位を保持する         
 クッションである。形状は主に三角柱であり、背中や横腹にあてて使用する。なかには         
 円柱形・座布団形及びだっこちゃん人形様式のクッションを利用することもある。これ         
 らは寝ている時、脇下がくっついたり脚膝がくっついたりしないように、隙間を作るた        
 めに利用するのである。
         
  次は床ずれ防止用具である。即ちベッドマットである。このマットも種類が多い。柔道        
 畳のように固めの物、軟化ビニール類、エアクッション様式などがある。しかもマットの        
 厚さはバラバラである。エアクッション様式は主に褥瘡対策となる。
         
   いずれの寝具備品類は、入所者に気持ちよく寝ていただくためのものである。その人に         
 あったものをベッドメイキングしておくのである。
         
       

   
          
  つぶやき話のテーマ4:  電気毛布

         
  [就寝時の寒さ対策として、湯たんぽ、電気あんかや毛布がある。         
   利用者の手持ち品であり、電気毛布がほとんどである。          ]         
          
  S介護施設では冬の暖房は空調機にて行っている。足が寒い人は靴下やパッチの上に         
 レッグウォーマーをはいている。特に寝る時に足先が冷たくなって、寝付けない人が         
 いる。そのような人は個人的に電気あんかや電気毛布を持ち込み、足元を暖房される。
         
   近頃の電気毛布は敷毛布様式が多い。敷布団のシーツ類を交換する時に、電気毛布は        
 ちょっと面倒である。まず電気毛布は敷布団より大きめであるので敷布団下に織り込ま         
 ねばならない。さらに電気毛布は敷布団と敷シーツの間に広げて利用される。すると汚れ         
 敷シーツをクリーニング済に交換する時に、ちょっと電気毛布のコードが邪魔になる。         
 このコードも曲げこむことになる。電気コードは漏電しないよう慎重に取り扱わなければ
        ならない。
         
  電気毛布の利用者は何事についても自立気味の人が多い。それで電気毛布の温度は自分         
 で製品のダイヤルを回して調節される。これは良いとして意外と忘れられることがある。         
 それは自立で起床された時、電気毛布のスィッチを切られないことである。ベッドの住人        
 は起きて食事している。その時ベッドの布団内は電気毛布が一生懸命に働いている。         
   
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 つぶやき話のテーマ5:  ポータブルトイレ

         
  [高齢者になると、夜中トイレへ行くのが増えるそうだ。トイレへの         
   夜間移動は危険が付きまとう。そこでポータブルトイレが利用される。]         
          
  私はしばしば、おしっこをする夢をみる。夢の中でいくら力んでも、おしっこは出ない。それで         
 目覚めてボツボツと、トイレへ行く。最低1回は夜間トイレへ行くのである。高齢になると夜間に         
 トイレへ行く回数が増えるという。要介護者が夜間に自立でトイレへ移動することには、転倒等         
 の危険性がある。少し排尿行動が自立している方々には、部屋のベッド傍にポータブルトイレ         
 を設置することになる。ベッドからポータブルトイレへ移乗するのに、介助を必要とする方は         
 ナースコールを利用する。夜勤の介護職員を呼び出して、移動介助をうけるためである。これで         
 転落、転倒の危険性を無くするのである。
         
  起床後は、介護職員はポータブルトイレ容器の片づけ(清掃、消毒)を行う。当然、尿や便の         
 色、出血有無等の異常に気付いたら、看護師へ報告するのである。このポータブルトイレは、         
 利用者へ個人ごとに割り当てている。

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