毎日新聞 電子版 2020.12.26 11:04 配信を読んで

 

見出し:老健施設コロナ感染者に行政が待機指示 施設側は窮状訴え、クラスター多発の大阪

 

 概略:新型コロナウィルスの感染拡大で高齢者施設でのクラスター(感染者集団)が多発している。「赤信号」が点灯する大阪府では、高齢者施設の一つである「介護老人保健施設」(老健)で、入所者が感染判明後も施設で待機するよう保健所から指示されるケースが起きている。老健関係者は「クラスター対応に神経をすり減らす中、思い負担を強いられている」と窮状を訴える。

 

 記事内容:

 大阪府内では12月23日現在、高齢者施設54か所のクラスターが発生し、1017人の感染が判明。全クラスター感染者2620人の内、38.8%を占める。厚生労働省は6月の事務連絡で、高齢者施設で入所者が感染した場合、重症化リスクが高いため原則入院させると通知。ただし、老健については状況により入院調整までの一時的な期間、都道府県の指示で入所継続をさせる場合があり得るとしている。老健は医師や看護師が常駐する施設でもあることが理由だ。

 老健の看護師は「医師がいても感染症の専門医ではなく、夜間や休日はいない。看護師も少なく、新型コロナを診られるような体制ではない。専門の医療機関にいち早く入院できることをお願いしたい」と訴える。

 8~9月にかけて集団感染が起きた府内の某老健では入所者30人が感染。この内、軽症の10人は施設内に待機し続け、入院した20人も感染が判明した日や翌日に入院できたのは10人。最長で12日間待機した人もいた。

 「大阪介護老人保健施設協会」はこの待機事例を受けて、11月10日、大阪府知事へ速やかな入院措置をとるよう要望書を出した。

 府の担当者は「入院できるように努力し続けるが、全員を入れることが難しいことがある。優先度の高い人から、順次入院を進めることが基本方針」と話している。

 

 私見 (ぼやき)

 老健(俗称:老人病院)は医師や看護師が駐在しても、本来は介護サービスを提供する施設である。特別養護老人ホーム(特養)では、駐在医師は0人、看護師は入所者数に対して必要数が規定されている。病院や看護ステーションではないので、多くても数人程度と思っていただきたい。介護施設はコロナ療養施設ではない。老健としては、入院措置はもっともな要望事項と思う。

 一方のコロナ対応病院の病棟には介護福祉士・作業療法士等は入り込めない。故に看護師が感染者の看護・介護・リハビリ・退院までの全作業工程を担当しなければならない。これもまた、大変な作業負荷である。

 新型コロナウィルスの蔓延が鎮火せず、更に高齢者施設でクラスターが多発すると、老健だけでなくその他の介護施設でも感染入所者の施設内待機が現実味を帯びてくる。インフルエンザ対処よりたちが悪い。介護施設の作業では入所者との3密は避けられない。マスク・ファイスガードの着用、手洗い、消毒、部屋換気等の感染防止対策の継続的な励行しかあるまい。           起稿    2020.12.26