7月3日、NHKテレビ番組で介護殺人のドキュメンタリーを見た。

 

 TVをみた後、強く心に残った言葉が2つある。

 第一は、介護殺人に対して「大変なことをやらかしましたね」ではなく、「やっと介護が終わりましたね」との慰めやねぎらいのような言葉が発言されたことである。これは肉親の介護、真っ最中の方の発言である。介護者には人を殺すことより、介護の負担から、いつ逃れることができるのかわからない、その苦痛がより大きいことを表していると思った。 

 第二は、認知症の母親を殺した息子の言葉である。「母親の仮面をかぶった化物を殺した」である。実の母親は認知症のため姿や行動が変わってしまった。在りし日の母親の面影がまったくない。自分の目前にいる、介護が必要な人は、化物そのものである。だから殺した(退治した)。肉親の介護では、認知症の症状を十分に理解した上に、更に感情を押し殺して当たらなければならない。無報酬なので、介護を仕事と割り切れない。本当につらい思いで介護されていたことであろう。

  

 番組を見た後、私の感想は次の2点である。

 要介護の配偶者から何度も殺してほしいと懇願された。介護者がやむをえず配偶者を殺したことについて、

私は仕方ないことのように思えた。第二点は、息子が母親を殺したことについて、私は息子、その嫁、娘に介護の負担をさせてはいけないと思えた。

 

 さて、このような介護者の苦悩や苦痛をやわらげるため、社会福祉制度や第三者がどのように支援できるかを考えてみる。当然、要介護者本人の対処も考えてみる。