第4章 介護  (その1:食事)
         
  つぶやき話のテーマ1:  水分摂取量(その1)
           
 [人は1日に水分を1000~1500cc摂取する。なかには1000ccさえも飲まない人がいる。]
            
  私の水分摂取量は1日に2000cc程度である。これは努めて、水分を摂取するようにしている。           
 朝食後、ブラックコーヒー2杯(300cc)、さらに午前中にお茶を5杯(500cc)を飲む。

午後からは 、 お茶4杯(400cc)、ブラックコーヒーを2杯(300cc)飲む。夕方・夕食時に

お茶4杯(400cc) 就寝前に水を100cc飲む。これで合計2000ccの水分摂取量である。

食事時の味噌汁等の水分は別腹である。またビールで水分補給等とは、まったく考えていない。ビールを

飲むと体はアルコール分を解毒し毒素を尿として体外へ放出する。尿と一緒に大量の水分も放出する。           
体は脱水状態になろうとしているのである。だから、酔いざめは水をゴクゴクと飲めるのである。
           
  アルコールの話になってしまった。水分に戻そう。普通でも尿の放出量(1000~1500cc)は 
 水分を摂取しよう。ところが入所者の中には、1日に1000ccさえも飲まない人がいる。パン朝食           
 時、コーヒー牛乳1杯(200cc)と、お茶1杯(200cc)を添えている。パン、ヨーグルト、

みかんは あわただしく食べられた。コーヒー牛乳を半分(100cc)程飲まれて、ご馳走様である。

お茶等を飲まれるようにすすめても頑として飲まれない。朝食時の水分摂取量はやっと100ccである。
           
  朝食後の休憩時間にお茶でも出したら、湯呑茶碗に口をつけただけでまったく飲まれない。ここは何と

しても、水分を100cc~200ccを摂取してほしいところである。ここで隠しの飲物が 登場する。

朝食時のコーヒー牛乳を冷蔵庫で100cc保存しているので、これを飲んでいただくのである。

コーヒー牛乳がなかった場合は、カルピス等の甘味飲料水を100cc程度、飲んでいただくのである。

甘味飲料水は、ほとんどの高齢者に飲んでいただける。糖分制限のない人には、利用できる手段である。

これでも午前中の水分摂取量は200cc~300ccである。昼食、おやつ、夕食時も、水分の摂取は

同様である。このため、水分の摂取量は1日に1000cc以内である。水分の摂取がこの程度であるので、排尿回数や尿の放出量も類推できる。脱水症・ 熱中症にならないように、看護っていなければならない。

しばらくの間、水分チェック表に水分量を記載して経過観察をしなければならない。さらに介護職員と

看護師の密な連携も必要である。
           
            
            
  つぶやき話のテーマ2:  水分摂取量(その2)
           
 [人は1日に水分を1000~1500cc摂取する。なかには1000ccまでしか
         飲ませられない人がいる。                               ]
            
  今度は腎機能が悪いので、水分を1日に1000ccしか摂取できない人のお話である。           
 Aさん(92才男性)は認知症だが活発な人である。食事、移動、排泄等ほとんどは自立している。           
 朝食時にはお茶を1杯(200cc)、朝食後の休憩時間にお茶1杯(200cc)、昼食時にお茶          
 1杯(200cc)、おやつ時にお茶1杯(200cc)、夕食時にお茶1杯(200cc)で、
  合計1000ccである。
           
  規則正しい水分の摂取である。ところがこの程度の水分では、のどが渇くのである。お茶をもっと           
 ほしいと要望されても介護職員は与えることができない。それではどうなるか?自衛手段の行使           
 である。Aさんの行動はほとんど自立している。食後の口腔ケア(歯磨き、うがい)も当然、自分           
 一人で行える。近くの洗面所へ行き、歯を磨きガラガラペッである。これで口腔ケアは終了である。           
 これからが、Aさんの本領発揮である。うがい用のコップに水道の蛇口から水をなみなみと注ぎ、           
 ゴックン、ゴックンと水を一気のみである。ああ、うまかったという、満足げな顔である。

200cc程 水分を補給されてしまった。水分チェック表に水分量を記載して、以後の水分量を減らし、

合計で1000ccになるように調整するのである。飲みたい人には、水やお茶は十分に与えたいので           
 ある。水分量に制限がある人の場合は、水分量を守らせるのがつらい。            
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     つぶやき話のテーマ3:  風呂上りのお茶
          
 「風呂で汗を出した。冷たい牛乳が欲しい。食費予算や保存上の関係で牛乳の          
  スタックがない。ここは冷たい水やお茶で我慢しておいてや。       」          
           
  風呂上りの冷たい飲み物は、非常に美味しいものである。入所者は、人数と時間の制限から、          
 午前中の入浴と午後からの入浴に分かれる。いずれの場合でも、必ず風呂上りは水分の補給を          
 しなければならない。水分を100cc~200ccを摂取してほしいのである。「風呂で汗かいた          
 でしょう。お茶でも飲みましょうか?」と、お茶をすすめてすぐにスーと飲まれる場合は問題ない。
          
 お茶をすすめても飲まれない場合が問題である。本人の言う通り飲まなくても良いでは済まない。          
 水分不足にならないように、何としてでも飲んでいただかねばならない。ここで出現するのがいつ          
 ものスポーツ飲料の粉末や濃縮甘味飲料である。これらの飲物を、冷蔵庫で冷やした白湯で          
 薄めて飲んでいただくのである。これらの方々の多くは誤嚥防止のために、とろみをつけて提供          
 する。自立で飲まれる場合は見守り、又、水分の補給介助が必要な場合もある。これでやっと          
 水分補給の役割は果たせた。お茶を飲む人と、スポーツ飲料を飲む人とを区別して差別してい          
 ると言わないでほしい。水分補給のための苦肉の策である。お茶を飲むのが嫌な人は、身銭を          
 はたいて、インスタントコーヒーや清涼飲料水を購入して備え付けているのである。
          
           
           
  つぶやき話のテーマ4:  お茶の温度 
         
 「ぬる過ぎず、熱すぎないお茶は美味しい。適温を知るには、どのようにするか?          
  やかんのお茶に温度計を差し込むかな?                  」         
           
  お茶を給仕する時に気がかりなことはその温度である。あまり熱いと舌を火傷されるし、ぬる          
 過ぎると嫌がられる。これは食物全般に言えることである。和食の際は必ず味噌汁がついている。          
 この味噌汁は施設の厨房で各茶碗に注いであるので、食卓へ出てきた時、汁の温度は適温と          
 想定している。この味噌汁に温度計を差し込むことはなかなかできにくい。念のために、味噌汁          
 茶椀を持った時の手触り温度や、湯気の立ち具合で判断するのである。
          
  話をお茶へ戻そう。お茶は厨房から、やかんに入って食堂へ来る。一緒に湯飲み茶碗と取手          
 のついたマグカップも付いてくる。これでお茶を給仕するものはそろった。後は、お茶を適温に          
 することだ。まず、手でやかんを触って温度を感じとる。熱ければ洗い桶に水をはり、やかんごと          
 冷やし始めるのである。手でやかんを触れる温度まで冷やすのである。それから、カップ類に          
 お茶を注いで給仕するのである。念のために「ちょっと熱いかもしれません。ふうふうして飲んで          
 ください」と言って、湯呑のカップ類を手渡す。湯呑茶碗自身の温度は、手に持てるような適温          
 になっているのだが。コップ類の数に余裕があれば、給仕する前に自分自身で、お茶を飲んで          
 みるのも、一方法である。
          
  Bさん(95才女性)は一部食事介助が必要である。お茶は少しとろみをつけて、マグカップで          
 提供する。いつも通り、食卓へ適温のお茶を提供した。 Bさんはすぐにお茶を飲まない。その場          
 の状況を眺めつつ、頃合いを見て、それとなくお茶を飲むのである。ある時、 Bさんが右手を          
 お茶の入ったマグカップの上に置いている。しかも人さし指の先が曲がり、お茶の中に浸かって          
 いる。右手の全指が硬直してまがっているのではない。意図的に、人さし指の先だけが曲がって、          
 お茶に浸かっているのである。あ、そうだ。お茶の温度を測っているのだ。自分でお茶の適温、          
 飲み頃を調べていたのである。なんと素晴らしいノウハウであろうか。   
           
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       つぶやき話のテーマ5:  ご飯一粒
           
  「お箸でごはんを一粒ずつ食べる。お茶碗一杯食べるのにどれだけ時間がかかるのだろう。           
   自立支援に反するが、健康維持のために介護職員が食事介助をする。        」           
            
  Cさん(90才女性)は両足に障害あるが、両手は正常である。だから食事は自立である。和食           
 パン食とも、全部を自分で行える。和食の時は配膳をするとメニューを説明して、箸を握っていた           
 だく。Cさんはすぐに箸は進まない。しばらくしてからお箸が飯茶わんに向かう。お箸でごはん粒           
 を一つつまむのである。それからおもむろに、箸が口元に向かう。ごはん粒が縦に1粒通るような           
 大きさに、唇が慎ましやかに開く。小さな鮒の口がご飯を一粒食べているようだ。やはり次もお箸           
 はご飯茶に向かう。この一連の動作が延々と続くのである。離れた席で、他の入所者の食事介助           
 をしている介護職員が声掛けをする。「Cさん、卵や味噌汁」もありますよ。召し上がってください」           
 それでもCさんは相変わらずご飯一粒である。食事時間が40~50分経過してもご飯粒が40~           
 50個程、胃袋に入っただけである。Cさんの食事に関して、自立支援を優先するか、それとも           
 身体の健康維持を優先するかの選択である。介護職員は健康維持を優先する。どうあっても           
 Cさんに食べていただかねばならない。
           
  介護職員はソフトビニールタイプのスプーンを準備して、食事の全介助を始めるのである。           
 ビニールスプーンでご飯をすくい、Cさんの口元へ持っていく。そしてスプーンの先で唇を大きく           
 おし開けて、口にご飯を含ませるのである。Cさんがよく噛んで、喉仏の動きやゴックンの音で           
 嚥下したことを確認する。そしてお代わりのご飯やおかずを口元へ運ぶのである。味噌汁は、お           
 椀の端を利用して唇を開いて、汁を飲み込んでもらうのである。1時間以上かけてやっと朝食が           
 すんだ。このように食が細っているので栄養管理面からは栄養補給品を付加することになる。           
 このような食事介助を強引・虐待などと言わないでほしい。何度も言うが、身体の健康維持の           
 ために、あえて行っているのである。
           
  ビニールスプーンに乗せられる食物の量は、金属製スプーンの半分である。唇を大きく開けれ           
 ない人に、金属製スプーンを利用すると、口元を怪我させる危険性がある。そこで、唇を大きく           
 開けれない人には、ソフトタッチのビニールスプーンを利用するのである。

           
            
            
     つぶやき話のテーマ6: 食卓下のご飯粒
           
  「食卓下のご飯粒を見つけて口にする人。薬だったら大変だ。」
            
  Dさん(85才女性)は両足に幾分障害あるが、両手は正常である。だから食事は自立である。           
 食物は早食いで食事を済ませるのが早い。口腔ケアや排泄等も終了である。他の入所者はまだ           
 食事がすんでいない。Dさんは食堂で、悠々の休憩時間である。

  この時レコード音楽を聴くなり、ちょっと居眠り等ですごしていただければ良いのだが?           
 ついつい探し物をされる習性、目ざとい物はないか探される習性がある。


 そこで大変に困ることが発生する。自分が食事した食卓に戻られて、床上のご飯粒を見出された           
 場合である。まず車椅子を少し後ろへ移動させ体を前かがみにする。そして手を伸ばして何とか           
 ご飯粒をつかもうと頑張られる。姿勢が不自然であるので、当然にうめき声も出てくる。
           
  食事介助をしながら、食堂内を見守っている介護職員が、Dさんの異変に気付く。そっとDさん           
 の横に行き、前にずっこけないようにDさんの体を支え、次に頭を食卓の端にぶつけないように、           
 体を起こしていくのである。ヒヤリ・ハットする事象である。           
  ご飯粒一つも粗末にできないのである。さすがにパン粉はつままれないようである。何れに           
 しても、食事を済まされたDさんの食卓下には何も落ちていないように、床掃除を徹底しなければ
ならない。           
 
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       つぶやき話のテーマ7:  粗食
          
 「ごはんと味噌汁のみ。それ以外は食べない。手を付けないのである。          
  どうしたら食べていただけるのであろうか?管理栄養士泣かせである。」          
           
  Eさん(95才女性)は両手、両足ともに正常だが、認知症が進んでいる。だから食事動作は          
 自立である。それで食事には、何も問題点や課題はないか?いいや大いに問題がある。その          
 問題点は何だ。朝食で和食メニューを例にとり、食事の行動内容を説明しよう。和食メニューは          
 ご飯、味噌汁、ミニオムレツ、漬物、グレープフルーツ少々とお茶である。 Eさんはまずお箸を          
 とり、味噌汁をすすり、次にご飯を食べ始める。ご飯をたべて味噌汁をすするのである。それで          
 ご飯とみそ汁を食べ終わって、お茶をのんでご馳走様である。食事を見守っている介護職員は、          
 まだおかず類が残っているので食べるようにすすめても、Eさん(95才女性)は頑とし手をつけ          
 ない。お盆からおかずや漬物類をはずすのではない。お盆に残ったままである。このメニューが          
 嫌いというわけではないようである。意識的に食べないようである。管理栄養士は、栄養補給用          
 の食物や飲物を追加提供するが、それ等の物も、頑として食べないのである。「今まで見たことも          
 食べたこともないものを、何で食べなければならないのだ」と言わんばかりである。それにしても          
 ご飯と味噌汁だけの粗食で、食後は人一倍、室内を歩き回るのである。やせ形で小柄な体は          
 健康である。私はEさんの体は、ご飯と味噌汁だけの食事に慣れ親しんでいると思った。その          
 ような状態になったのには、色々と事情があったのであろう。その事情はテーマ外で書くつもりは          
 ない。Eさんの健康について、施設責任者及びケアマネージャーがこのような食事状況である          
 ことをご家族等へ報告して、今後の対応等を協議しておくことが必要である。          
          
 
           
      つぶやき話のテーマ8: 栄養失調
          
 「終戦後の食糧難では、栄養失調という言葉があった。高度成長時代は、          
  栄養失調を使わなくなっていた。ところが栄養失調は死語になっていなかった。」          
           
  身体に障害があっても食欲旺盛な人は身体の状態を維持している。即ち健康である。ところが          
 食の細い人は、段々と体調が衰えていく。さらに食の細い人は、風を引いたりすると治るのに長          
 期間かかる。するとさらに食が細くなり、悪循環である。体力が衰えているし、回復も遅いので          
 病院を受診することになる。病院で診察の結果、病名は栄養失調である。即座に治療開始で          
 ある。点滴や栄養補給剤を飲まして体力を回復させる。その後、流動食やソフト食の摂取訓練を          
 して、体調が安定してきたら退院である。即ち介護サービスでの対応へ戻るのである。
          
 私は食事の量がだんだん細くなってくるのは、加齢によるものと思っていた。歳をとると運動量は          
 少なくなり、消費するエネルギーも少なくなる。それで食欲も減って当たり前、体が段々と枯れて          
 いくのである。これに反して、食欲旺盛であったら太り過ぎになる。糖尿病等が心配になる。
          
  食は細くても、栄養的には偏った食べ方はしていないのである。それも病名が栄養失調である。          
 終戦後の食糧難では、栄養失調という言葉があった。発育盛りの子供がなっていた。死んだ子          
 もいた。高度成長時代は食物も豊富になり生活も向上した。もはや戦後ではない、栄養失調も          
 なくなった。ところが、ところがである。今度は高齢者に病名として、栄養失調があるとなった。          
 栄養失調は死語になっていなかった。昭和30年代であれば、高齢者が老衰で亡くなられたと          
 されていたのであろう。現代は餓死はあっても、栄養失調による死亡はないのであろう。          
           
 
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           つぶやき話のテーマ9:  栄養補給剤
          
 「栄養補給剤には食物・飲物がある。寒天やゼリー状のソフト食物がある。          
  飲物としてラコール等がある。これは胃瘻の人が胃や腸へ直接に流し込むものである。」          
           
  入所者の食が細ってきたり、体重が減少してくると、管理栄養士は、食事の際に栄養補給剤を          
 添える。この栄養補給剤は美味しくて、食欲増進にも貢献する。私はゼリー状の試食品を食べた          
 ことがある。形状は名古屋名物の外郎売である。色は茶色で味はコーヒーである。緑色はメロン          
 味であった。口にくわえると噛まなくても、自然に溶けてくる。味は見かけよりも美味しかった。
          
  次は飲物のラコール・エンシュアである。これらを飲める機会はなかなかなかった。これらは          
 コーヒー牛乳のような色をしており、液は牛乳よりもっとドロドロである。食事介助の際に近くで          
 見たり香りをかいだりしている。ちょうどラクトアイスが溶けている時のようだ。聞くところに          
 よるとバニラ味等があるようだ。食いしん坊の私は、ちょと食べてみたい気持ちにもなって来る。          
 管理栄養士に「このドロドロした飲物は、何?」と質問したところ、「経管栄養剤」と回答された。          
 直接、胃や腸へ流し込む栄養剤である。正確にいえば医療用医薬品である。経管栄養剤は、口から          
 飲み込める人は、飲み込んでもいいんだ。薬を口から飲み込むのと同じである。食事介助を          
 しながら、服薬介助をしているようなものである。
          
           
           
     つぶやき話のテーマ10: 水分不足
          
 「ビールでは水分補給にならない。排尿を促進してかえって脱水状態を作る。          
  脱水状態が続くと、熱中症の危険性が増大する。            」         
           
  今度は体の水分が不足すると、何が起きるかである。脱水症であることは想定がつく。但し、          
 夏に自分の体が脱水状態になっているとは、気付かないことがある。これを隠れ脱水状態という          
 らしい。以下は、私自身の体験である。
          
  夏のある日(金曜日)、空調の聞いた部屋で趣味の素謡を練習していた。すると、私は急に          
 悪寒を感じて体が震えてきた。同じ部屋にいる友人は空調がきいて快適な様子である。私だけが          
 寒気を感じているのである。私は練習を中座して帰宅した。家で体温を測ると、何と39度もある。          
 夏で気温が高いので、体温が39度あっても、体がほてることはない。体温があまり高温なので、          
 私はすぐに救急車を呼び、病院へ運んでもらった。幸いにも近くの救急医療センターへ搬送して          
 もらった。医療センターの医師から、本日の水分及び、昨日の水分摂取量を問診された。日頃          
 から水分摂取には気を付けているので、昨日は1リットルのペットボトルを2本飲んだ。今日は1本          
 飲んだ状況であると答えた。医師は熱中症とみて水分を確認しているようであった。早速、処置          
 (点滴)が始まった。少しずつ体温が常温になってきた。しかし念のために入院である。4日間、          
 入院して無事に退院である。病名としては、やはり熱中症である。私としては納得いかない。          
 近頃、激しい運動で汗をかいたり、炎天下でゴルフをしたわけでもない。普段の生活態度である。
          
  私はなぜ熱中症なったのか考えてみた。もしかしたら、この時期から脱水状況になったのでは          
 ないかと、思い当たる事象があった。悪寒を感じた金曜日の1週間前の土曜日に、急遽九州へ          
 帰省したのである。叔父が亡くなったので、通夜に駆け付けたのである。蒸し暑い夕方である。          
 導師による通夜を済ませ、今度は親類による夜伽である。夜伽の部屋はしっかり空調がきいて          
 いる。皆、喉が渇いたであろうから、ビールで喉を潤すのである。汗はかかず、すすめられるまま          
 ビールをグビグビと飲める。夜も更けたので、夜伽は身内(子供達)だけとなった。私は宿泊所へ          
 移動した。気が高揚しているので寝る前に、さらに缶ビールを飲み干した。夜中、朝方にかけて、          
 数回排尿したであろう。朝は早めに目醒め、朝食を済ませて告別式場へ移動した。自販機から          
 ペットボトル(水分)を購入することを忘れていた。式が終了するまで緊張しており、水分摂取や          
 補給等を思いもつかなかった。式場の空調がきいており、喉が渇いているように感じないので          
 あった。告別式が終了したので、帰宅することにした。新幹線の時間は、また缶ビールである。          
 新幹線内は空調で快適な空間である。ビールはこの上ない美味さである。帰宅すれば、風呂を          
 浴びて汗をかき、早めに就寝である。次の日(月曜日)から、仕事に復帰、通常の生活態度に          
 なったのである。水分は2リッター/日を、摂取し始めたのである。振り返ってみると、土・日曜の          
 水分摂取量は少ない。さらにビールによる排尿促進で、体の水分を捨て去っている。この時点で          
 体は脱水状態になっていたのである。月曜日から水分を補給しても間に合わず、隠れ脱水症に          
 なっていたのである。          
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          つぶやき話のテーマ11:  歯ブラシの持主は?
            
 「食後の口腔ケア(歯磨き、うがい)には、歯ブラシとコップが必要だ。            
  歯ブラシとコップにはテプラ―が必需品である。名前を張り付けるのだ。」            
             
  4人家族の洗面所に歯ブラシが4本あっても、どれが誰の物か区別はつくであろう。入所者が            
 40名になると簡単には区別できない。各人の部屋で歯磨きすれば、家庭と同じようにほぼ区別            
 がつく。ところが集団で歯磨きすると、歯ブラシ類も一同にまとめて設置することになる。どうしても            
 歯ブラシやコップに、使用者の名前が必要になる。ところが歯ブラシやコップに名前を書くような            
 部分は用意されていない。マジックインキで書いていても、水洗いを重ねるとインキははげ落ちて            
 しまう。ほしいのは、はげ落ちないインキ類である。そこで登場するのが、名前がしっかり書けて、            
 ぴったり張り付くテプラ―である。細幅のテープを利用すると、歯ブラシの取っ手に張り付ける            
 ことができる。口腔ケア用品としてテプラ―は必需品である。

 

            
             
             
  つぶやき話のテーマ12:  義歯に名前を
            
 「食後の口腔ケアでは、義歯を外すことがある。歯茎及び義歯清掃のためである。            
  義歯を名前で区別するのに、テプラ―テープを張り付けられない。さあ、どうする。」            
             
   食後の口腔ケアでは、義歯を外すことがある。歯茎及び義歯そのものを清掃するためである。            
 清掃した義歯は、またもとの口に戻す場合が多い。ところが夕食後は、次に就寝となるので外した            
 ままになる。別途、保管が必要になって来る。義歯を保管する時は、長時間空気にさらしておくと、            
 ひび割れしやすくなる。そこでプラスチック容器に水を入れて、義歯を浸けて保管する。義歯が            
 誰のものか区別できるように、プラスチック容器に名前を書いておく。これで一同に保管しても            
 間違うことはない。
 ところがところがである。世の中は想定しないような事象が発生する。容器を            
 入れた保管籠を持ち上げた時である。保管籠を持った介護職員がつまずいたのである。容器            
 は辺り一面に転がり、容器のなかからは義歯が飛び出したのである。15名分を保管していると、            
 上下合わせて30個の義歯が転がったことになる。まず拾い集めて、洗い直して、該当人へ割り            
 振らねばならない。義歯のどこにも名前は書いてない。口腔ケアの時に見慣れた義歯の形状を            
 思い出し、誰々のものと推量するのである。形状の特徴は残り実歯の位置で判断するのである。            
 まったく残り歯がない時は、義歯を実際にはめてもらい、歯茎にフィットするか否かで確認する。            
 歯茎にフィットせず隙間やガタがある時は、別人のものである。義歯を洗い直して、別人で再度            
 挑戦となる。この時は介護職員総出の意見や助言で、持主の判別が出来て、再度挑戦せずに            
 済んだのだが。
 義歯の技工士に聞いたのだが義歯の支え部分に名前を刻むことは可能である。            
 ところが名前を刻む、市場のニーズはすくないらしい。名前を刻んだ義歯は出回っていない。

 

            
             
             
  つぶやき話のテーマ13: スポンジブラシ
            
 「口腔ケア中にスポンジブラシのスポンジ部分を飲み込まれてしまった。            
  食物以外のものを食べたので異物を食べた事故になった。再発防止策が必要だ。」            
             
  口を大きく開けることができない人の場合、口腔ケアでは、歯ブラシの代わりにスポンジブラシを            
 利用する。スポンジブラシの形状は、握り手棒は爪楊枝の太さ、長さは爪楊枝2本分程である。            
 握り手棒の片方に、飴玉程度のスポンジが取り付けてある。口腔ケアでは、スポンジ部分を少し            
 水で湿らせる。スポンジブラシを口元に持っていくと、水分があるので吸い込んでもらえる。そこで            
 口の中を掃除する。すなわち残飯をスポンジに付着させて摘出するのである。ある時、スポンジ            
 ブラシを口から取り出そうとした。すると棒だけになってしまった。スポンジ部分が取れたのだ。            
 すぐに口の中を指で探ってみたが残っていなかった。スポンジを飲み込まれてしまった。看護師            
 へ連絡して、誤嚥はしていないことを確認してもらった。異物を食べたのだから、排泄されるまで            
 監視することになった。以後、下痢や便秘等の異常が発生しなかったことで、排泄されたものと            
 推量された。食物以外のものを食べたので異物を食べた事故になった。再発防止策が必要だ。            
 スポンジブラシは何度も利用していたので、取り付け部分が弱くなっていたと推定した。以後、            
 スポンジブラシは使い捨ての運用をするように定めた。

            
             
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  つづく