朝日新聞生活面  介護する人へ 福井の事件から考える(上、下)

 2019年11月26、27日の朝刊を読んで

26日版

  見出し:小さな悩みも「仲間」と共有

      「手をあげた」打ち明け楽に 共感や励ましが救いに

  記事内容: 

 殺人容疑者妻(71歳)は周囲に「介護疲れ」を明かしていた。追い詰められた家族による事件を防ぐ手立てがないのでしょうか。介護経験者や支援者とともに、2回にわけて考えます。 

 紙面に家族を介護する人の相談先として、①市区町村の地域包括支援センター、②認知症の人と家族の会、③介護者サポートネットワークセンター・アラジンを掲載している。

 記事の最初に「介護している本人がSOSの旗を振らないと、支援の手はさしのべられない」と記載。あとは相談してよかった経験談を記載。最後に、世間にも介護する側にも「家族が見るのが当たり前」との考え方が根強く残る。この意識を改めない限り、悲劇は繰り返されるで結んでいる。

 

 27日版

   見出し:食べてる?眠れてる?日頃から声をかけて

       疲労・孤独感・話せる環境づくりを

   記事内容:

 老々介護や多重介護は、より深刻な事態に陥りやすい。支援者は、介護される人だけでなく、介護する人への支援が大事だと指摘します。

 紙面に介護する人の健康状態を自己診断するためのチェックシート「介護している人 大丈夫?」が掲載されている。そのチェック項目の大枠が、見出しに記載されている「食べてる?眠れてる?日頃から声をかけて(相談相手はいますか)」である。

 記事の内容は経験談を記載しているが省略する。介護している人について気になることがあったら、どうすればよいか。「プライバシーに踏み込むことになるので勇気がいることかもしれないが、『最近、姿を見ないな』『疲れていそうだ』と思ったら、そのことを民生委員や病院のスタッフなど誰かに話してほしい。そうすれば、必要な支援にたどり着ける可能性があります」と記載している。最後に、相談相手が見つかれば、少し心に余裕ができてよりよい判断ができると結んでいる。

 

 私見ぼやき

 私のぼやき内容がやっと記載された思いである。介護に関して全国に地域包括センターが網羅されている。なんでも相談員として民生委員児童委員の体制も作られて100年も経過している。それでも事件や悲劇は発生するのである。どこに問題点があるのかどうすればよいのか関係者や支援者は試行錯誤をしているのである。

 前回章でも記載したが、個人の権利、プライバシー、世間体、今までの習慣や考え方などが、複雑に絡んでくる。簡単明瞭に割り切れて、解決できるものではない。ならばどうすればよいか?本新聞記事に記載されている事項と思う。それは「介護している本人がSOSの旗を振らないと支援の手はさしのべられない」である。地域とのかかわりや絆などというが、本人が心を決めて問題提起をしなければ、何も始まらない。

                               起稿   2019.11.27

  追記

 地域包括センタ―について

 介護のなんでも相談所的な役割を持つ地域包括センタ―(包括さん)が、朝日新聞、11月19日及び11月23日の朝刊に一筆たりとも記載されていない。11月26日になりやっと相談所が再掲載され、トップに明記された。このことから邪推すると、朝日新聞社の組織・編集局・新聞記者にも、地域包括センタ―のことは認識されていなかったと思う。地域包括センタ―は地域により呼称を変えているので認識できなかったのかもしれない。地域包括センタ―は、介護予防活動を通じて、地域の住民、特に高齢者にPRしているのである。それでもPR不足であるのだろうか? 新聞記者は事件性に目を向けるが、自分に関係のない介護には無関心であるのだろう。これは要介護の高齢者を介護する人でも同じことであろう(親が要介護状態であっても、親を第3者には介護されたくないと思っている子供や家族のことである)。

 

 民生委員について(正しくは民生委員児童委員である)

 民生委員は、高齢者や単身者の見守り活動を行っている。この見守り活動でも、ネックになるのが個人情報保護法及びプライバシー権に関する、見守りに該当する高齢者の考え方である。「余計な世話や、ちょっかいはせんといてくれ。」「どうして俺が高齢単身者とわかったんだ?自分一人で何とかやっているからほっといてくれである。」それならば高齢者に民生委員の担当地域とその役割などを明記したPR紙を年に数回配布している。当然、PR紙面には介護サービスについての説明、さらに包括さんとの連携も説明している。それでもPR不足であるのだろうか?痛しかゆしのジレンマに陥りながら、細々と高齢者見守り活動をしている。

                                起稿   2019.11.27