2020.06.03 朝日新聞 朝刊 11面(オピニオン)をよんで

 

 見出し :介護職にリスペクト(敬意)を

 中見出し:無意識の見下し 人手不足の背景 ケアの基本学んで

 

 序文:新型コロナウィルスで緊急事態宣言が出ても、必ず出勤し仕事を続けてきたのが介護職だ。超高齢社会の現場はすでに絶対的な不足にあえいでいる。根底には介護という仕事に対する「無意識で悪意のない見下し」があるのではないか。誰もがみんな年をとる。いずれお世話になる人たちへのリスペクト(敬意)、足りてますか?

 投稿者は、O短大教授K氏である。詳細は掲載記事を読んでいただきたい。

 

概要:(箇条書き)

 コロナ禍で介護現場も様々な困難に直面している。

 介護ヘルパーが利用者様の自宅でおむつ交換をしている最中に、利用者(要介護者)様が「こんな汚い仕事、娘や孫にさせられない」という。介護=排泄の世話=汚い仕事という認識が定着している。

 利用者様の自宅訪問、医師や看護師は玄関から、介護ヘルパーは勝手口に回って下さいと家族に言われる。

 介護職に対して「簡単、単純、誰でもできる、学歴もいらないつまらない労働」との思い込みがある。

 介護職は、全産業平均より月給が9万円近く低い。

 高校生の進路指導が介護を選択肢から遠ざけている。教師から「介護だけはやめとけ」といわれる。

 介護職が不足するので、家族介護はまだまだ続く。そこで不可欠なのは愛情でも根性でもなく知識である。

老いを知りケアを学ぶ。それは要介護を忘避することなく、老いを肯定的に受け入れるインフラになる。そのインフラが介護に担い手を育む土壌になる。

 

私見

 介護福祉士を養成する学校の先生の意見である。現状の問題点を認識されて、次に進むべき道しるべを示されている。さすがである。

 

 体験談である。私は情報技術(IT)企業で仕事をしていた。近所住まいでしかも我社のお客様にAさんがおられた。Aさんとは某ゴルフ場の会員同士であり、度々、ゴルフプレーを楽しんでいた。私はIT企業を退職後、ホームヘルパーの資格を取得、特養S施設のパート介護職員として勤務を始めていた。パートを初めて数年後、Aさんが難病を患い、要介護者になられ、S施設のデイサービス、ショートステイを利用された。私は旧知の仲、Aさんの気持ちを察して、直接介助を行わないよう当該部門は担当しなかった。それでも施設の通路や休憩所などでは、顔を合わせることもある。お互いに交わす会話はゴルフ時代の思い出話である。ある時、Aさんが「あんた、よくこんな仕事をしているね」とつぶやかれた。私は咄嗟に「暇つぶし」と返答した。年金だけでは生活できないから働いていると、誤解されたくなかった。私はその時代、介護の知識を勉強して、介護福祉士になり、その後、ケアマネージャーにもなってみせると意気込んでいる時であった。私は目標を持っていたので、介護が汚い仕事という考えを持っていなかった。私はケアマネージャー資格取得の実務研修において、Aさんのケアプランを作成した。

 

 介護職場に中間管理職は少なく、30代の若い世代がバンバン働いている。現場作業形態はトップダウンでなくボトムアップである。介助が個人個人で異ならないように、介助手順をマニュアル化し、介護職員を研修し、作業の統一性を持たせている。そのマニュアルさえも若い世代が中心となり作成している。活気あふれた職場である。介護保険の重なる見直しで施設の経営は厳しさを増している。アベノミクスによる好景気で介護現場は、さらなる求人難(人手不足)となった。介護職の給与アップ施策は実施されても、給与が他産業に比べて、まだ低い状況である。               起稿   2020.06.08