2020.12.19 朝日新聞 朝刊 社会 33面を読んで

 

見出し:介護の場 悲鳴

中見出し:「密」避けられずクラスター多発

 

 注釈: 新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、介護事業所等の高齢者施設でクラスターの発生が相次いでいる。医療体制の逼迫により、感染が判明してもすぐに入院できずに施設で一時療養を強いられているケースがあるうえ、職員への感染拡大は地域の介護サービスにも影響している。行政も対策に乗り出した。

 

 行政、対策急ぐ: 特に高齢者施設でのクラスター発生が目立つ大阪市は現在、職員が無症状でも民間検査機関を活用して定期的に無料でPCR検査を受けられるよう体制つくりを検討中だ。一方、厚労省は10月に介護現場向けの感染対策の手引きを作成。またすべての介護事業所を対象に、感染症が発生しても介護サービスがストップしないよう業務継続計画(BCP)の作成や、感染症が出た場合を想定した訓練を義務付ける方針だ。

 

 大阪府八尾市の特養Kの事例(情報を公開・消毒徹底 K施設、ネットに経緯を掲載 約60名入居の施設)

  8月5日に職員1人の感染判明後、9月12日の収束までに17人(入居者7人)が感染し入居者1人が亡くなった。感染対策は尽くしたつもりだったが防げなかった。約40人態勢で施設を運営しているが、自宅待機などで23名がシフトから一時外れた。8時間だった夜勤は16時間になった。疲労が蓄積し、感染の不安を訴える職員が相次いだ。施設は看護師の指導を受け予防策を改善した。毎朝の消毒は1時間かけて丁寧にし、食器は使い捨てに。防護服や手袋・マスクは、ケア(介助)するたび(一人ひとり毎)に捨てた。

 

 

 死亡された1人のご冥福を祈ります。特養Kの職員さんの大変な頑張りに敬意を表します。

 

私見: 新聞記事と公開されているホームページを見て、内容を検証してみる。特養K施設の入居者はすべて個室である。施設には6ユニットあり、1ユニットに入居者は10名程度となろう。よって入居者は60名弱と推測する。1ユニット10名を1年中無休(1週間、7日・24時間を、約7人の職員)なので、1日を3シフトで介護サービスをしている。すると少なくとも1週間に1回は8時間の夜勤がある。10名の職員がコロナに感染、さらに濃厚接触者に該当した職員が13名で自宅待機となった。よって1週間から10日間は、23名の職員が3シフト勤務から外れざるをえなかった。施設内で働ける17名の職員で、約50名の入居者の介護をしたことになる。1ユニット(入居者約9名)の担当職員は3名、この3名で3シフトを組む。3日に1回は夜勤だ。夜勤明けですぐに帰宅しても、家事などをしなければならない。大変な生活であったろうと推測する。

 

 よく自前の職員だけで対応したものと感心する。無関係の他施設からの応援はなかったのか、相互的な応援ができるような体制をつくるのが、施設連合会(上部機関)や行政機関の役割と思う。同じように訪問介護事業所でホームヘルパー(職員)の感染が判明したら、代替えできるヘルパーの相互的な応援を望むはずである。応援がなければ、要介護者居宅の訪問及び、サービスを取りやめなければならない。

 このような相互応援体制が整備されなければ、1個人事業所だけで介護サービスがストップしないようにする業務継続計画(BCP)は、絵にかいた餅であると思う。どの介護施設でも慢性的な人手不足なので、入所可能な部屋及びベッドはあるのに満床にできない。現状職員数で安全にお世話できる入居者数にしているのだ。 新型コロナウィルス対応用のベッド数は確保できたが、医療従事者不足のために、満床にできないのと同じことである。幸いにも私の住む地域では、上部機関が相互応体制を構築し始めている。その体制の運用訓練に職員が参加した。訓練参加の報告書に目を通し、その運用でも課題はいくつも点在することが分かった。

 

 

 感染症が発生したとの訓練を義務化の件は、なぜ以前に考慮されていなかったのかと思う。なぜなら、介護現場は例年のインフルエンザ蔓延に振り回されていたのである。何度も患者の隔離、対処職員の専任、防護服の着脱、手洗い励行、消毒作業、加湿器の水補給等を経験してきたのである。その手順や対処方法をマニュアル化しているのである。インフルエンザは急速に高熱となり、しかも急速に蔓延する。幸いにも治療の特効薬がある。新型コロナウィルスは微熱で、病状がさまざまである。しかも特効薬がいまだにない。この違いを対策訓練の項目に、どのように考慮されるのかを注視したい。 インフルエンザの時の防護スタイルは、ビニールエプロン、使い捨てマスク、ビニール手袋、風呂用ビニールヘアキャップ等である。新型コロナウィルスの場合は完全防備できる防護服、高性能マスク、フェイスガード等の高性能・高価格品に規定されるであろう。資材不足の中で高額な資材を購入しなければならない。事業者は経営に頭を抱えるよ。せめて規定する資材は行政機関が、無償で提供してほしいよ。

 

  厚労省10月の感染対策の手引きに従い、種々の対策作業を行っている。記録を残しながら。介護施設は、手すり等の消毒タイムや換気(窓開け)タイムを設けて定時間ごとに実施している。寒い冬の季節でも窓を短時間空けているのである。コロナ以前から冬場は毎期インフルエンザ対策のために、各部屋に加湿器を設置して、定期的に水を補給している。

 

 職員は起床時、体温を測り平熱を確認する。出勤した時に再検温、その後、決められた時間ごとに、検温する。それを勤務表に記録するのである。検温で微熱があれば退勤である。更に家族で微熱があれば、自宅待機である。施設内の訪問者は、いまだに限定している。ボランティアの訪問・活動は中止のままである。職員によるリハビリ訓練・レクレーション活動を細々と続けている。

 

 

 近頃、行政機関が介護福祉士の資格取得者へ就労状況についてアンケートを実施した。私にも調書が来たので回答した。現在も就労しているので数問の回答で済んだ。就労世代の調査項目では、10代毎区分しているのに、60代以上は10羽一絡げである。70代や80代でも働ける職場なのに。アンケートの目的とその質問内容は、介護福祉士の資格を有しているが、就労をやめた理由、どのような環境や労働条件に改善されれば復職するかと質問である。介護は4K職場と一般人にも言われているのに、それを改めて、再確認するようなアンケートである。就職氷河期でさえも求人難の職場である。若い介護士を育成する学校・教育機関は生徒がいなくで、悲鳴を上げている経営環境である。高齢者の健常者が、介護職員の一部支援者(介助士)になるような、就労環境にすれば、幾分か求人難が解消できるであろう。団塊世代の私は介助士として同じ職場で働いている。上司からは「少しでよいから、長くはたらいで下さい」と、声かけられている。

 

 団塊世代の要介護(私造語:介護症という病気)は、健常な団塊世代が互助するとの意気込みをもとう。自分にできる範囲で、介護現場に関わりをもとう。元気な100歳の要介護者をお世話すると、自分も100歳まで生きるかもと、元気の素をいただけるよ。                    起稿 2020.12.20