介護職求人広告の激減

 新聞にはスーパーのチラシと同じように、求人広告のチラシが加えられている。その求人広告の業種を眺めていると、景気の良い事業、いつも人手不足の事業がそれとなく想像できる。

 万年人手不足の介護業界の求人広告をみる。アベノミック前の就職氷河期は、介護業界が紙面全域になる程大いに求人広告をしていた。アベノミック時代になると製造業の工場新設などで工場員の求人が増えてきた。介護職の求人は少なくなったが、特別養護老人ホームの新設に伴い、相変わらず求人広告はつづいていた。この時代に介護職不足が、初めてクローズアップされ始めた。要介護者を入れるハコ物(老人ホーム)は出来たが、介護職員が足らずにホームに入所させられない。ホームの部屋は開いているのに!! 介護職の人手不足の解決策として、外国人技術者の研修留学制度が発足した。研修制度の運用が順調に滑り出しているという風評が広まるにつれて、各介護施設は外国人研修生の受け入れに期待をかけ始めた。この時から、増々、日本人介護職の求人広告が減り始めた。そんな矢先の2020年になって、外国人研修生の受け入れ情勢は一変した。

 新型コロナウィルスの蔓延により、外国人研修生が日本に入国できないのである。介護職員が手に入らないのである。それなら再び、日本人の介護職を求人するかと言えばそうではない。求人広告は増えていない。介護経営の現場は、コロナ対策のため、新しい備品や資材は必要になる。資材は不足して高値になる、それでも購入しなければならない。介護職には、人・設備への消毒作業が増えてくる。出費は増える一方である。このような厳しい経営環境において求人広告はしないであろう。今、手持ちの職員数で何とか現状を維持する、近冬のインフルエンザと新型コロナウィルスを乗り切る。来春には外国人研修生を受け入れようと、夢見ながら仕事を続けている状況だ。

 介護職をエッセンシャルワーカー等と外国語でごまかしても、日本人は従事しないよ。介護職は、医療従事者のように使命感を持って仕事をしていない。介護職はボランティアでもない、サラリーマンである。ただ、介護職は自分の腰を壊さない限り、これから20~30年は失業なく仕事できるのだが。

                                  起稿 2020.10.18