11月7日(日)地域の文化祭が終わり帰宅中、自宅近くの路地で家庭用燃えるごみの

透明ビニール袋に大量の甘柿の実が包まれて捨ててあるのを見つけた。翌日のごみ収集で

焼却してもらうためである。家庭用生ごみなので、無料回収である。私はもったいないと

思い少し拾って帰ろうと思った。ごみをあさって食物を得ることは乞食のすること同じだ。

私はごみ袋内の柿実を拾おうと思ったことを躊躇し行動には至らなかった。もったいないと

感じながらも帰宅した。翌日にはごみが一切なくなっていた。清掃業者がごみを回収して、

処理場へ搬送し高熱の焼却処分になったことであろう。熟した柿実は悲しい事であろう。

 ごみ袋に詰められた柿実は、近くの単身高齢者の家から廃棄された物と類推できた。

その家の庭に甘柿の木があり、囲塀より道路にはみ出した柿枝が切られていた。枝を薪の

ように束ね、その葉と実はごみ袋に詰めたのである。高所の柿枝を切る作業は単身高齢者

がなせるわざではない。多分、高齢者のお子さん達が定期的な訪問をされて枝を切られた

ことであろう。 

 11月9日(火)私は、勤務する特養(老人ホーム)従業員用入口で、段ボール箱に詰

まった富有柿を見つけた。「大型ごみの処分業者からの差入れです。どうぞ、お持ち帰り

ください」のメモが張り付けてある。私はごみ処分業者の気持ちがうれしくなり、当然、

家に持ち帰り食べた。実にうまかった。

 老人ホームに届いた経緯は次の通りである。近くの旧家に、大きな富有柿の木があり、

持主は邪魔になったので、大型ごみ処分業者が木を伐採したのである。熟した柿実は、

近くの老人ホーム入所者に食べてもらいたくて、持参したのである。業者の申出を応対

した施設職員(相談員)は、月間食事計画の運営により入所者へは提供できない。但し

施設職員への配布品としていただきたいと返答して、入手した柿実である。この柿実も、

施設職員が持ち帰り、2日間程ですべてなくなった。

 大型ごみ処分業者が富有柿の木や実を処分場に持込むと、重量に応じて焼却費用を

支払わなければならない。水分を多く含む柿実は、重量物になるのだ。金を払って焼却

処分するよりは、人間に食べてもらおうと考えたのかもしれない。人に喜んでもらい、

さらに焼却費用は少なくて済む。まさに一石二鳥だ。

                           起稿   2021.11.17