2020.10.03 朝日新聞 朝刊 30面(社会)を読んで

 見出し:訪問介護運営会社を提訴。広島 82歳コロナ死 賠償請求

 記事概略:

 新型コロナに感染し、82歳で死亡した広島県の女性の遺族が、訪問介護運営会社を相手取り、4400万円の損害賠償請を求めて広島地裁へ9月3日提訴した。運営会社のホームヘルパーが女性への訪問を控えておれば、感染は防げたとして、同社が安全配慮義務を怠ったと主張している。訴状によると、ヘルパーは3月31日に発熱や味覚、嗅覚異常の自覚症状があったが、4月1日に改善したとして、翌2日と6日、女性のもとを訪れ、10日に感染が判明したとされる。一方、女性は4月3日にせき等の症状が出て、同19日に新型コロナによる肺炎で亡くなった。運営会社は「弁護士と相談して対応したい」としている。

 

 私見・ぼやき

 亡くなった女性のご冥福を祈ります。

 本事案は裁判沙汰にせず、調停により双方とも和解してほしい。

 先ず、ヘルパーから女性への新型コロナ感染を、科学的に立証できるか否かである。3~4月頃、どのようにして、新型コロナが蔓延しているのか、科学的な観点からの理論は確立していなかったと思う。当然、介護業界はこのようにしなければならないという規則はなかったと思う。すべての介護事業所は、3密を避けるため、自主的な感染防止のための行動基準であったと思う。クラスターを発生させた介護事業所は、自主的に活動を控えた。未発生の事業所は、3密を避けるための方策をとりながら活動を継続した。当然、事業所は従業員の体温測定を通じて、健康管理(微熱、せき等)をしていた。

 一方、高齢者の利用者は、病院・通所施設へ通わず引き籠り、ホームヘルパーの訪問はキャンセルして、自己防衛したのである

 本事案は、ホームヘルパーや介護事業所が配慮を怠ったためだけで、業務上過失致死罪になるのであろうか? 配慮に統一基準や規則・法律があるのであろうか? 今後の経過を見守る。 2020.10.04 掲載

 

 

2020.10.11  朝日新聞 朝刊 8面(オピニオン)投書をよんで

 見出し:介護従事者も利用者も守る策を

 投書者:訪問介護ヘルパー Mさん 東京都 23歳

 概要: 介護現場の人手不足などの問題点を知りながら、新型コロナウィルスの対応をして、ホームヘルパーとして活動している。上記事案を他人事ではない、自分の事として考えている。今後、このような提訴が相次いだら訪問介護は出来ないと主張している。よって国はこの問題の解決策を考えてほしい述べている。

 

 私見・ぼやき

 本投書を書いたのが23歳の若者である。しかも第一線のホームヘルパーとして、頑張っている若者である。介護職場では、若者は金の卵である。求人しても応募がないのである。介護職場の若者には、従事している仕事の将来に夢を与えたいものである。ところが本事案は若者が介護に従事し続けるという考えさえも、つぶしてしまいそうである。私は提訴が悪いと言っているのではない。何とか調停で双方とも和解してほしいと願うだけである。

 

 問題の対策(私案)

  今後ヘルパー事業所は自己防衛策を考え出すであろう。介護サービスは契約にて成立っている。事業所は契約書の中に「不可抗力や想定外の事象によって利用者がなくなった場合、事業所は一切の責任は負わない。利用者の遺族は、本条文に同意する」との文章を加えるであろう。本契約書に同意しなければ、介護サービスは行いません。病院で手術する際、死亡する危険性がある、それでも手術に同意されますか、同意書に署名・押印いただけなければ、手術はいたしません。これと同様である。手術同意書は、病院で患者が死亡した際、提訴の対応用として準備しておくものである。

 

  国や民間保険会社に検討をお願いしたい。

 死亡交通事故で利用する自賠責保険及び任意保険の介護版を作っていただきたい。介護の現場は、嚥下障害で死亡する事故は撲滅できない。よって誤嚥による死亡を例にとる。一般の家では不運な事故扱いとなり、介護老人保健施設では医師が常駐しているので死亡した病名となり、特養等の介護施設では介護事業所・職員の見守不足による業務上過失致死罪となる。交通事故の過失致死罪と同じである。よって介護事業所・介護職員の過失致死罪の損賠賠償補償金用に、車と同じような自賠責保険、保証金無制限の任意保険を作ってほしい。自賠責の掛金は介護職員がそれぞれ雇用保険と同じようにかける。任意保険は事業所が労災保険やボランティア保険のように掛けるのである。                 2020.10.11  起稿

 

 

2020.10.13 朝日新聞 朝刊 33面 社会 を読んで

 見出し:「ヘルパーから感染」和解

 記事内容(全文):新型コロナウィルスに感染して死亡した広島県三次市の女性(当時82)のいぞくが、9月、ホームヘルパーが女性への訪問を控えていれば感染を防げたとして、同市長の訪問介護事業所の運営会社に4400万円の損害賠償を求めた訴訟は12日、会社側が哀悼の意を示す等を内容とする和解が成立した。代理人弁護士によれば、和解書では、会社側が哀悼の意を示すほか、感染予防へ最大限の努力を約束。原告側は「訴訟は介護現場の安全管理についての問題提起だった」として訴えを取り下げた。

 私見・ぼやき

 私の願い通り、双方が協議して和解できたことはうれしい。しかし残念なのは、紙面の記載が、これっぽちなことである。紛糾したりしなければ、大きくクローズアップされないことである。本件は「これにて1件落着」とすることにため息が出る。何が和解へと進ませたのか? これ以後、同様な事案を提訴して、賠償金を得ようとする人物が、出てこないとは言えない。天下の大新聞社として、今後の嚥下障害事故の撲滅運動、発生時の補償法を考えだし、紙面に掲載して、対策の啓蒙活動を起こすべきである。 2020.10.13

 

2020.10.13 中国新聞 デジタル を読んで

 見出し:「ヘルパーから感染」と提訴の遺族、訪問介護事業所と和解 

          コロナ82歳死亡「お悔やみを表してくれた」

 記事内容(抜粋)事案の提訴経過は、朝日新聞と同様であり省略する。 

  和解書などによると、運営会社は女性の死亡について遺憾の意を表し、哀悼をささげるとし、運営会社に法的な賠償義務のないことを双方で確認した。

 訴訟取り下げの理由として遺族側は介護現場の安全管理体制についての問題提起は報道である程度達成された。訴訟継続で介護現場が委縮するのは本意ではないーなどを挙げた。提訴時にはネット上で「損害賠償が認められると介護現場が持たない」などの声が上がっていた。

 遺族側はこの日、取材に対し「金銭の請求が目的ではなかった。運営会社にお悔やみと遺憾の意を表してあい、和解という結果に満足している」と話した。運営会社側は「早く解決に至り、ほっとしている。これまで以上に気を引き締めて感染対策に取り組んでいきたい」と話した。

 

 私見・ぼやき

 ネット上で大炎上しており、遺族側もネットに投稿された介護従事者の声に耳を傾けられたことが、和解への道を勧めさせたと思う。双方とも和解の条件を了承していると記載されている。うれしい文面である。

                          掲載 2020.10.13