朝日新聞 2019.12.17 朝刊を読んで

 身出し

  88歳母と70歳娘死亡 福岡 娘は寝たっきり 心中か

 記事内容

 12月16日午前7時半頃、福岡市内の公園で、近くの(介護)サービス付き高齢者住宅に住む女性(88歳)が血を流して物置にもたれていたのを通行人が発見。警察へ通報。同じ55分ごろ女性の部屋で娘のIさん(70歳)がベッドの上で血を流しているのを見つけ、ともに搬送先の病院で死亡が確認された。公園と部屋で遺書のようなメモが見つかり、福岡県警は無理心中とみて調べている。同高齢者住宅には看護師らが常駐。看護師が16日午前5時に訪問した際に、2人にかわった様子はなかった。

 娘のIさんは数年前に重い病気を患い寝たっきりとなり、この女性と同居を開始。この女性(母親88歳)が介護をしていた。二人は年金暮らし。この女性は1ヶ月ほど前から、職員に「介護を続けていくにはどうすればよいのか」という趣旨の相談をしていたという。県警は女性が介護を続けることや経済面の不安から将来を悲観して無理心中をしたとみている。

 

 私見(ぼやき)   お二人のご冥福をお祈りいたします。

 本痛ましい内容を読んで、事実は小説よりも奇なりと思った。2点ほどびっくりした。

 

 第一点。私は今まで、親の介護で子供やその家族が大変に苦労して、介護地獄や事件になる場合のみを想定していた。ところが今回の事案はまったく逆転しているのである。子供が世の中の人に迷惑をかける恐れから親が子供を殺すのである。同日に高級官僚が凶暴な息子を殺害した事件の判決が出た。息子殺害事件の再発防止策としてマスコミは種々の機関や団体の相談すべきだったとコメントしている。本当にそれだけで十分か?

 

 第二点。本事案では、母親が介護を続けていく苦労や不安を職員に相談している。それでも、無理心中の防止には至らなかった。なぜなんだろう。

 ここからは私の邪推を書き込む。(介護)サービス付き高齢者住宅で看護師らが常駐とあるので、相当に完備された介護福祉施設である。当然、介護福祉士及び介護支援専門員(ケアマネージャー)、社会福祉士(相談員)も配置されているはずだ。本相談内容は、ケアマネージャー及び相談員が対処すべき事項である。これらの職員は、地域の社会福祉機関や団体と連携取りながら仕事をしているのである。よって救済の対処策を少しは知っているはずである。これらの職員の見解をインタビューして新聞に記載する。その見解から根本的な問題点を洗い出し、再発防止に取り組まなければならないと思う。1ヶ月の短期間には対処できる事案ではありませんでしたでは実に嘆かわしい。                    掲載     2019.12.17